ご挨拶 - ヤママサが考えていること

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おいしい魚をお届けするために、愚直に取り組んでまいります。

株式会社ヤママサ 代表取締役 三嶋政人株式会社ヤママサ 代表取締役
三嶋政人

本社工場本社工場

 ヤママサは、「真だら」をはじめとする魚のチルド品や冷凍品、ご贈答用の漬け魚を製造・販売する水産加工会社です。「真だら」を中心に、鮮度が高く高品質な製品だけを一貫して扱っており、ご家庭や販売店・外食産業の皆様のご支持を賜りながら、「真だら」の取扱いにおいて全国でも有数の企業に育つことができました。これは、お届けする製品の鮮度と品質、そしてそれらを追求する弊社の姿勢にご評価をいただいてきたからであると、自負しております。

 終戦からまもない1950年、ヤママサは漁業基地として栄えた塩釜で創業しました。60年代、国策による「北転船」が塩釜から北洋に出るようになると、この地での水産加工業が一層活発になり、弊社はスケトウダラを使った練り製品や魚卵、赤魚やカレイの加工などさまざまな魚種・製品を扱いながら、やがて「真だら」の加工を手がけるようになっていきます。

 ところが70年代に各国が漁業水域を宣言し、80~90年代に排他的経済水域の設定が進んだことで、日本船はベーリング海などの北洋における操業ができなくなりました。弊社はこれを機にアメリカ産たらの加工販売へと舵を切り、92年にフィレマシンを導入するなど、本格的に「真だら」に特化した取り組みを開始したのです。

 「たら」の品質を決定づけるのは、漁、保存、加工の方法と質です。これらにより同じ「たら」でも鮮度や品質にとても大きな違いが出ます。ベーリング海で操業する弊社の指定船は、捕獲の直後に船上で活締め・冷凍を行います。国内での保存にも細心の注意を払い、すばやい解凍と丹念な加工を行います。魚の鮮度が高いため、深層海水塩を使うことで料理にそのまま使える控えめの塩分で流通することができるのです。爽やかな海の香りをまとった弊社の新鮮な「たら」は、和洋中、どんな調理法でも、そのおいしさを実感していただけるはずです。

 「たら」は、古くから日本はもちろんヨーロッパやアメリカ大陸で愛され、重要なたんぱく源として人類の発展を支えてきた魚です。たとえばポルトガルでは「たら」の伝統料理だけで300種類以上あるといわれるほど、昔も今も人々の食卓を飾っています。脂肪分がほとんどなく高たんぱくな「たら」は、ヘルシーな食材の代表選手であるといえます。

 ただ、おいしくて栄養価の高い「たら」ですが、鮮度管理が難しいという難点があります。そのため昔から主として流通してきたのは塩分が非常に強い「塩たら」でした。そのことから日本では、「たら」は塩抜きに手間がかかる魚、あるいは塩辛いので鍋ものには適しているがソテーには向かない魚、などのイメージが根づいてしまっています。一方で塩を使わない「生たら」も流通していますが、なかには鮮度と味の落ちた「生たら」もあり、「たら嫌い」を増やしてしまい、残念ながら日本では、ご家庭の皆様にたらの本当の良さが十分にご理解されていない現状があります。

 弊社は、古来より人々が親しんできた「たら」の食文化を守り発展させていきたいという思いを根底に、おいしく、安全で新鮮、高品質な食品を提供することを使命に掲げ、愚直に加工と販売を続けてきました。保存料などの添加物は一切使用せず、それでいて食べやすい控え目の塩分を実現するにはどうしたら良いか。それには鮮度を高めるしかない、漁や加工、物流をすべて見直すことから始める以外ないと考えて努力を続け、高鮮度・高品質な「塩たら」の製造を実現しました。経営環境の厳しいときもありましたが、この基本を曲げ品質を落としてしまうと、弊社の存在価値はなくなってしまいます。厳しいときこそあらゆる努力を払ってその姿勢を貫こうと決め、日々、真摯に仕事をしています。

 製品は、いまでは「たら」を軸にキンキなど北方魚のチルド品、そして高品質な冷凍品も製造しています。冷凍品は航空会社のビジネス/ファーストクラス用の機内食用やレストラン向けにお取引きいただいています。また銀鱈や紅さけなどの魚種を使った「漬け魚」は、ご贈答用としてご家庭や百貨店向けにお届けしています。漬け魚も伝統的な製法にこだわり、添加物を使用せず天然由来の調味料を厳選した製造を行っています。こちらもいまでは多くのお客さまにご指名いただけるようになりました。

 2011年の東日本大震災では、弊社は幸いにして津波を免れたものの、地震により工場は半壊しました。停電で冷凍保存のできなくなった魚は病院や避難所にお配りし、工場は社員が手作りで補修、何とか操業を再開しました。多くの人たちを失ったあのつらい体験を機に、さまざまなことに思いを馳せるようになりました。古代にその名の通り塩づくりを教え広めた地としてはじまり、漁業を発展させてきた塩釜の歴史。そこで育まれたものを進化・発展させるために、いま生きている自分たちができることは何なのか。被災地の一企業として、また日本の水産業の一端を担う者として何をすべきなのか。これからも努力すべきことは多いと心に命じています。

 いま、食をとりまく環境が大きく変化し、「正直者が報われる」時代になってきていると感じています。「塩たら」の製法は単純ですが、一つひとつのこだわりで、香り高く味も良い、バサつかずフワッとした食感に仕上げることができます。ご家庭の皆様には、この食感に優れ絶妙な塩加減の「たら」をはじめとする、無添加・伝統製法の魚をぜひ味わっていただきたいと思います。また販売店や外食産業の皆様は、どうか一度、弊社工場のご視察のために塩釜に足をお運びください。そこで弊社の製法や品質管理をご覧になり試食をしていただければ、必ず違いをお分かりいただけると思います。弊社の魚のおいしさは、必ず食卓に笑顔をもたらしてくれるはずです。そのために、これからも社員一丸となって製造・販売に取り組んでまいります。今後ともどうかよろしくお願い申しあげます。

株式会社ヤママサ 代表取締役 三嶋政人

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